半畳記

Documentary

 1989年9月の5日間。 モスクワとレニングラード(現在のペテルスブルグ)の街と人の記録です。 ゴルバチョフ政権になってそれまでの秘密主義が消え、且つまだ拝金主義に毒される前の人々の慎ましさが残っていて治安もよく、夢のような一瞬の時の記録です。 いつの時代も、そこにすむ人々にとって、政治は必要悪なのでしょう。 この国の政治形態から受けていた感じとは全く異なる、シャイで親切で、人なつこい人々の暮らす町でした。 この年の11月ベルリンで東西間の壁が崩壊しました。

 1967年から1971年までの街頭の記録です。 学生運動が主になっていますが、それ以外にも当時私の胸に痛切な思いを引き起こしたことどもが記録されています。 何の記録かと問われれば、怒りの記録と云うことになると思います。 最近では滅多に見られなくなった、「公憤」の記録といったらいいでしょうか。 そして「公憤」は常に「法」とのせめぎあいにあうために、その解消のために困難な道のりを強要されます。 その時代に生まれて時代の矛盾に憤った人たちにこの写真を捧げます。

 1987年から1991年までの間に取材した廃墟群の記録です。ここで云う廃墟とは使われなくなって、見捨てられて尚且つ再生のために壊されることすらされない建物、といった意味です。 それらに接すると、何ともいえないむなしさと同時にいらいらした気分におそわれます。 用途を拒否されて尚そこにあるという不条理から引き起こされる感情は、そのまま自分の存在に向かって投げ返されてくるからでしょうか。 同時に不思議な美しさをも持っています。 地上から天に向かう雨がないように、やがて朽ちていくのは避けようがないのですが、それでもその建造物は誰のためでもなく、ただ建造物として其処にあります。

尚、この部分は写真データが不完全な為、暫定表示です。写真のデータが揃い次第更新致します。